2013年7月16日火曜日

ジャンダルム


いよいよ夏の登山シーズンがやってきた。
今回は来月に予定しているバリエーションルートのトレーニングもかねて、
北アルプス最難関(クラシックルート)の西穂高から奥穂高を選択した。
実はこのルートは一昨年にソロで登っているが、何度も登りたくなるルートだ。

工程

Day1:新中の湯→ 焼岳 → 西穂高岳(テント泊) Day2:西穂高岳 → ジャンダルム → 奥穂高岳(テント泊) Day3:奥穂高岳 → 前穂高岳 → 重太郎新道(下山) → 上高地

Day1

ムーンライト信州号で松本へ







初日は食料やテントが重いのと、体がなれていないせいもあり登りがきつい。
雨が降ったり止んだりを繰り返し樹林帯は蒸し暑く、森林限界にでれば風が冷たくと
ても寒かった。
景色も何も見えず単純に辛いだけの工程だった。
初日は1500m登り、ルートタイム通り目的地である西穂高山荘に到着した。








さっそくテントを張って、ビールで乾杯。









明日の天気は曇りのち雨、明日はずっと岩場なのでかなり微妙な天気だ。

Day2 AM4:30

各自テントの中で朝食を済ませ出発。 このルートは岩場をひたすら登るかなりタイトで足場が悪いルートだ。 浮石だらけで一歩一歩落石しないように気を使うことでストレスが溜まり疲労へと繋 がる。







西穂高山頂で、奥穂高を目指すか、西穂高に引き返すかで僕達パーティーは別れた。
僕の読みでは午後から雨なのでそれまでに奥穂高に到着できれば大丈夫と予想した。





天狗岩へと、逆層のスラブ状岩壁を登る。

予想は外れ、一番雨が降ってほしくないところで雨が降った。 ホールドが無い上に岩がツルツルに滑る。 その上僕たちはテント泊縦走のため荷物が重い。 滑らないように少しずつ上半身を移動させホールドを探しながら登った。 ここは皆かなり苦戦して体力を奪われた。

天狗岩から、コブ尾根ノ頭への登り。

天気がよくてもとてもきつい登りなのに雨と強風により体温を奪われ、 よりいっそう体力を消費する。 皆、会話も無く呼吸を大きく乱して、必死で集中力を切らさないように努めた。 ワンミスが命を落とすような工程が既に5時間経過しようとしていた。 先行していたソロの男性が岩場でうずくまっていた。 肩を脱臼したらしく助けを求めてきた。 何とか肩をはめる事に成功◎ 「命の恩人です。」と感謝された。 彼のあだ名はDJ 脱臼と命名した。。笑 僕達合わせて4パーティーが奥穂高に向かっていたが、先行していたパーティーが 雨と強風のため引き返してきた。 岳沢に下る唯一のエスケープルートがあるが今年は雪が多いため、 戻るのは危険だと伝えたが、彼らは向かった。 「がんばってください!!」と何度も言われた。 「お前たちもな!!」と喉まで出かけてやめた。。笑 確実に目で追って、足場をさがそうにもガスがひどくて見えなかったり、 足がスリップして手だけで体を支えるような場面が何度かあった。 ヒヤリの連続。。。 無事にジャンダルムを登頂出来たときは皆でハイタッチして喜びを分ち合った。 景色はまったく見えなかったが、達成感は半端なかった。 ここから奥穂高へ向かうルートもロバの耳や馬の背といった難所が続いたが、 皆「集中!!集中!!」と声をかけあって合計9時間かけて穂高山荘に到着した。 テントを張って、もちろんビールで乾杯。。 のはずが体力的にも精神的にも疲れ果て酒が進まなかった。

Day3

夜から朝にかけて大雨。。。 テントは水を含みかなり重くなった。 しかし最後に天候は僕たちを見離さなかった。 見事に晴れ僕たちが登ってきたルートを一望することが出来た。







風も気持ちく本当に最高だった。

前穂高岳山頂。
目の前に広がる壮大な景色。

皆二日目に体力を使いきり足ががくがくで下山した。

やはり雨の岩場は晴れのときに登るよりも何倍も難しくなる。
無事に下山できて命のありがたみを心底実感した。


来月は前回失敗した北アルプスの北鎌尾根縦走です。
一度ついた恐怖心は、そこをクリアすることでしかぬぐえないような気がします。

登っても登ってもタフに登り続ける事ができる。
そんな男に僕はなりたい。

待ってろ北鎌尾根





おわり。。