12月11日(日)納骨の日。
今までは、なんとなくおじいちゃんがまだ家にいるような気がしていた。
「男は強くあれ。泣き顔を見せちゃいけないよ。」
優しく、厳格なおじいちゃんの写真がそう物語っているような気がした。
「でもそれは僕には簡単なことじゃないよ。」
もう30歳になったというのに、ぜんぜん大人じゃないし、だらしないし。
こんなんでいいのかな?と仏壇の前で手を合わせ心の中で自分に問う。
納骨式の日はおじさん、おばさんに孫が集まり会食し、おじいちゃんの話をした。
おじいちゃんは終戦後、警察官となり、働きながら夜学に通い大学をでた。
人一倍の努力家で難題な事件も解決し出世した。
当時は鬼の武藤で有名で、大きな事件となると玄関前までマスコミが押し寄せたそうだ。
その環境で育った娘4人は警察官の嫁にはなりたくないと口合わせて言っていた。
おじいちゃんの前妻、つまり僕のおばあちゃんは33年前に病気で他界した。
その時、おじいちゃんは61歳。死に目に会えなかったそうだ。
きっとものすごく辛かっただろう。
人にも厳しかったが、自分にも非常に厳しかったため、毎日の筋トレは定年後も欠かさなかった。
68歳で再婚し、僕は今おばあちゃんと二人で生活している。
おじいちゃんは94歳でこの世を去った。
今とは大きく違う時代に育ち、戦争を経験して、貧しかった日本から、豊かな国へ変わる
そんな時代に力強く生きた人だ。
優しかったおじいちゃん。
不意に今日が本当のお別れなんだと実感した。
一つだけ約束できるのなら、これからおばあちゃんを大切にするよ。
「さようならおじいちゃん。」